最高裁(昭和7年)“フェノチアジン誘導体の製法事件原審の確定事実に照らして本件を観るのに、上告人が訂正を求める『Aは分枝を有するアルキレン基』との記載は、・・・・『Aは分枝を有するアルキレン基』という記載のままでも発明所期の目的効果が失われるわけではなく、当業者であれば何びともその誤記であることに気付いて『Aは分枝を有することあるアルキレン基』の趣旨に理解するのが当然であるとはいえない」、「前記の『Aは分枝を有するアルキレン基』との記載は、上告人の立場からすれば誤記であることが明かであるとしても、一般第三者との関係からすれば、とうていこれを同一に論ずることができず、・・・・本件特許発明の詳細な説明の項中にその趣旨を表示された『Aは分枝を有するアルキレン基』と『Aは分枝を有しないアルキレン基』との両者のうち、前者のみを記載したのが本件特許請求の範囲にほかならない」と述べている。

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