最高裁(昭和1年3)“メリヤス編機事件審判手続の構造と性格に照らすときは、特許無効の・・・・審判の審決に対する取消の訴においてその判断の違法が争われる場合には、専ら当該審判手続において現実に争われ、かつ、審理判断された特定の無効原因に関するもののみが審理の対象とされるべきものであり、それ以外の無効原因については、右訴訟においてこれを審決の違法事由として主張し、裁判所の判断を求めることを許さないとするのが法の趣旨であると解すべきである」、「なお、拒絶査定の理由の特定についても無効原因の特定と同様であり・・・・、したがって、拒絶査定に対する・・・・審判の審決に対する取消訴訟についても、右審決において判断されなかった特定の具体的な拒絶理由は、これを訴訟において主張することができないと解すべきである」、「本件をみると、上告人が本上告理由において原審がこれにつき審理判断しなかった違法があると主張する・・・・ものは、本件審決が審理判断した無効原因・・・・とは別個の・・・・ものであり、・・・・本件審決が無効原因として認めた公知事実とは別個の公知事実の主張であるから、原審が、本件審決の適否につき、そこで審理判断されていない別個の無効原因であるこれらの事実の主張を考慮すべきでないとしたのは正当であり、原判決には所論の違法はなく、論旨は採用することができない」と述べている。

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