東京高裁(昭和2年6月8日)“チューブ容器の胴部に係る構造事件「本願実用新案登録出願の拒絶査定に対する審判の請求は、その共同出願人の1人たる原告吉野工業所が単独でなしたものであるが、実用新案法第1条、特許法第132条第3項によれば、実用新案登録を受ける権利の共有者がその共有に係る権利について審判の請求をするには、共有者の全員が共同してすべきものであるから、原告吉野工業所単独によってなされた右審判の請求は不適法であって、これを補正することができないものというべきである。したがって、これと同様の判断のもとに右請求を却下した審決は正当である」、「原告らは、共同出願人の1人たる原告ライオン歯磨について当事者としての記載を缺いた右審判の請求は法令の解釈上、当然補正することが可能であったから、審判長においてその補正を命ずべきであった旨を主張するが、原告ライオン歯磨が自らの意思に基づき本願実用新案登録出願の拒絶査定に対する審判を請求する趣旨の適式の請求書を提出するのでない限り、いくら原告吉野工業所においてその提出に係る審判請求書の当事者の記載に関する不備を補正しようとも、法の要求する前記のような必要的共同審判の要件を充たさないから、同原告のなした審判の請求は不適法たるを免れず、これを同原告において補正することはできない。その意味において、右審判の請求について原告ライオン歯磨が共同請求人として加わることは審判請求書の方式違背の補正に関する規定の適用外の問題というべきであって、原告らの右主張は全く筋違いである」と述べている。

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