最高裁(昭和5年1)“食品包装容器事件実用新案登録の無効についての審決の取消訴訟においては、審判の手続において審理判断されていなかった刊行物記載の考案との対比における無効原因の存否を認定して審決の適法、違法を判断することの許されないことは、当裁判所の判例の趣旨とするところであるが(最高裁・・・・昭和1年3月0日大法廷判決・・・・参照、審判の手続において審理判断されていた刊行物記載の考案との対比における無効原因の存否を認定して審決の適法、違法を判断するにあたり、審判の手続にはあらわれていなかった資料に基づき右考案の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下『当業者』という)の実用新案登録出願当時における技術常識を認定し、これによって同考案のもつ意義を明らかにしたうえ無効原因の存否を認定したとしても、このことから審判の手続において審理判断されていなかった刊行物記載の考案との対比における無効原因の存否を認定して審決の適法、違法を判断したものということはできない」、「本件についてこれをみるのに、原審は、・・・・乙1号証の2により当業者の右実用新案登録出願当時における技術常識を認定し、これにより審判の手続において審理判断されていた第3引用例に本件考案における密封包装の技術が開示されていると認定して本件考案が第1ないし第3引用例からきわめて容易に考案することができたとした審決の判断を支持したものであることは、原判文に照らして明らかであるから、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない」と述べている。

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