最高裁(昭和56年3月27日)“商標事件”は、「商標法77条5項により準用される特許法191条の規定に基づく公示送達は、送達を受けるべき者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れないときにこれをすることができるとされているところ、商標法50条の規定に基づく商標登録取消の審判事件における被請求人である商標権者が商標登録を受けた後その本店所在地を変更し、これにつき、特許庁に対する届出をしていないが、商業登記手続を了しているような場合には、右商業登記の登記簿ないしその謄本につき調査をすれば、送達を受けるべき者としての右被請求人の住所を容易に知ることができるものであって、その住所、居所その他送達をすべき場所が知れないときにあたるとすることはできないから、同人に対し公示送達をするための要件が具備しているということはできない。そうすると、右のような場合に被請求人に対しされた公示送達は、その要件を欠き効力を生じないと解するのが相当である」と述べている。 |