大阪高裁(昭和57年1月28日)“架橋発泡法によるタイヤ製法事件”は、「一般に、特許権者は、他人が当該特許権侵害により何ほどかの利得を得た場合、これにより右利得と同額の損失を生じたとみなければならない合理的な理由はない。以上の点よりして、損害賠償請求の場合に侵害者の利得額即権利者の損害額と推定する旨規定した特許法102条1項(サイト注:現2項)の規定が不当利得返還請求の場合に類推適用できないことは、明らかである」、「しかしながら、特許権侵害者が適法に特許権を実施するには、特許権者又は専用実施権者の許諾を得、そのためには相当の実施料を支払わなければならないが、侵害者は、これを支払わずに実施して、その支払を免れて、同額の利得を得たことになり、他方、特許権者は、受くべき実施料の支払を受けることなく、これと同額の損害を蒙ったものということができるから、特許権の侵害があれば、特別の事由のない限り、常に実施料相当額につき不当利得が成立するということができる」と述べている。 |