東京地裁(昭和8年)“異質クラッド板の製造法事件職務発明については、これが特許されたときに、使用者は、法律上当然に、無償かつ無制限の通常実施権を有する(特許法第5条第1条。当該発明について特許がされる前、また、特許を出願しなかった場合には、実施権という観念は法律上存在しないが、右規定の理は、この場合にも同様に適用されるべきである。すなわち、発明について特許を出願しない場合は、理論上は万人が実施しうるわけであるが、これがノウ・ハウとして秘匿されるときは、事実上、これを知っている使用者のみが実施しうることとなるところ、この実施も、当然に無償かつ無制限のものというべきであると解される」と述べている。

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