東京高裁(昭和58年3月24日)“拡散ボンディングプロセス事件”は、「本件補正が本願明細書の記載上明らかな誤記を単に訂正するにすぎないものとして許されるということができるためには、当業者において本願明細書の記載に接したときに、本願発明において採用された・・・・『臭素』の記載が、正しくは『硼素』とすべきものの誤記であるものと、本願明細書の記載に即して、容易に・・・・『硼素』の誤記であると一義的に認識できるものであることが必要であるというべきである」、「本件補正が本願明細書上自明の誤記を訂正するにすぎないといえないことは、・・・・明らかである」、「本件補正は、出願当初の明細書において本願発明の中間層合金の必須の構成成分とされていたものを、なんらそこに開示されていなかった別の成分をもって置換しようとするものというほかなく、かかる補正は・・・・許されないとした審決の判断は相当であり、審決に原告主張のような違法の点はない」と述べている。 |