大阪地裁(昭和9年)“パンチパーマ用ヘアーブラシ事件右専用実施権の設定につき登録を経ていないことは当事者に争いないところ、原告は未登録の専用実施権であってもこれに基づき、差止・損害賠償請求権を行使し得る旨主張するが、意匠法7条3項、特許法8条1項2号によれば、専用実施権の設定は、これを登録しなければその効力を生じないものとされ、それはいわゆる対抗要件ではなく効力発生要件と解すべきであるから、前記のとおり登録のない本件専用実施権は未だその効力を発生せず、また、右登録の効果を対抗要件と同一視して、不法行為者である被告には右登録の欠缺を主張し得る正当な利益を有しない旨の原告の主張も理由がない。よって原告の専用実施権に基づく請求は理由がない」、「そこで次に原告の独占的通常実施権の主張につき判断するに、通常、権利者と実施権者間で専用実施権の設定が約されたが、その登録に至らない間にもその実施が許諾されている場合には、実施権者は右実施につきいわゆる独占的通常実施権を付与されたものと同一視することができ、またそうみることが当事者の意思に合致するものと考えられ、本件においてもこのような設定を妨げる事情は見当らない。よって原告は独占的通常実施権を付与されたものと認められるところ、前認定の事実によれば、それは権利者が自己実施及び第三者に実施許諾しない旨の特約のある講学上いわゆる完全独占的通常実施権であると認められる」と述べている。

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