東京地裁(昭和9年6)“台車ブレーキ装置事件法は、第4年以後の特許権の存続を欲する者は、その者が率先してその責任において法所定の納付期間(追納期間を含む)内に法所定の額の特許料(割増特許料を含む)を納付すべきこと、これに従わない場合、期間の経過そのこと自体により特許権は当然に消滅すること、右納付期間についてその延長、右特許料についてその軽減等の措置は許されないことを厳格に定めているものといわなければならない。法の定めるところが右のとおりである以上、・・・・原告は、本件特許権について法所定の額の第5年分の特許料をその納付期限である昭和1年0月0日までに納付せず、かつ特許料の追納期限である昭和2年4月0日までに法所定の額の特許料及び割増特許料を納付せず、また、弁論の全趣旨により利害関係人その他の第三者による右特許料の納付もなかったことが明らかであるから、本件特許権は、第112条第3項の規定により、昭和1年0月0日を経過した時にさかのぼって消滅したものとみなされ、この効果はすでに確定したものといわざるを得ない。原告は、本件第5年分の特許料納付書に対する不受理処分につき被告若しくは特許庁職員のした処分ないし取り扱いを種々論難するけれども、原告が第5年における本件特許権の存続を欲するならば自ら率先してその責任においてなすべき法所定の額の特許料の納付を法所定の期間内にせず、またその追納期間をも徒過したのであるから、法の規定するところに従い本件特許権が前示の期間の経過により消滅に帰した結果を甘受しなければならない」と述べている。

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