東京高裁(昭和1年1)“海苔抄造方法事件本件弁駁書は、昭和8年1月5日特許庁審判部に受理され、特許庁審判長の本件審理終結通知は、その受理後である同年2月5日付でなされ、同9年1月7日原告に到達した」、「右の事実によれば、審決が特許無効理(2として摘示した原告の主張は、審判請求書に記載された主張に基づくものであるところ、右主張は本件審判手続において適法に主張された本件弁駁書記載・・・・の主張(以下の判決理由中では、・・・・『本件主張』という)のとおり変更されたものであることが明らかである。したがって、審決は、本件主張を審理の対象とし、これに対する判断を示すべきであるのにかかわらず、特許無効理(2を審判請求書の記載に基づき、摘示し、該主張に対する判断として、単に本件第一発明及び第二発明と甲第四号証・・・・に記載されたものとのみを対比し、後者には『本件第一発明及び第二発明の海苔抄造方法を必須構成要件としておらず、またそれを示唆する記載も見当たらない。そして、本件第一発明及び第二発明は、甲第四号証に記載されたものによっては期待できない(中略)効果を期待できるものであるので、特許法第9条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとすることはできない』と説示したものであるから、審決は、本件主張について判断を遺脱したことは明らかである」、「以上の次第であるから、審決には特許無効審判請求事件において請求人が適法になした主張について判断を遺脱した誤りがあり、その誤りは審決の結論に影響をおよぼす蓋然性があるものと認められるから、・・・・審決は違法として取消されるべきである」と述べている。

特許法の世界|判例集