東京高裁(昭和1年)“テクスチヤヤーンの製造法事件原告は、審決が、請求人(原告)の主張する本願発明の生産効率の向上、装置の簡単化、捲縮性能、染色均一性、貯蔵安定性等の効果について、いずれもポリエステルを高速紡糸して未延伸糸が有する物性に起因するもので当業者の当然予測されるところの効果にすぎないとのみ説示した点に関し、ポリエステルを高速紡糸した末延伸糸の物性としていかなる点が当業者の認識にあったか、また、それか
らどのような理由で多種多様の効果が予測されるかの認定を欠く審決には理由不備の違法がある旨主張する。しかしながら、審決において記載することを要する理由(特許法第157条第2項第4号)は、その結論に達するまでの、事実認定を含む判断過程であって、その結論が合理的であることを理解させるものであることを要するとともに、それをもって足りるものであり、必ずしもその結論に達するまでの判断過程のすべてを逐一詳細に説示しなければならないものではない。本件において、審決が原告主張のような点まで説示しなければならなかったものとは認められず、本願発明の作用効果に関する審決の説示に理由不備の違法は存しない
」と述べている。

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