東京高裁(昭和61年8月15日)“オボロコンブ製造具事件”は、「(1)竹中昆布店ことCは、昭和30年代以降、秋田市・・・・の店舗において、オボロコンブを含む昆布の製造販売業を営んでいるところ、同店に向かって右側の窓の間近の作業場では、引用オボロコンブ製造具を用いてオボロコンブを製造していること、(2)引用オボロコンブ製造具は、秋田市・・・・所在の鍛冶屋正勝刃物工場ことA方で遅くとも30年前に製造され、Cに納入され、それ以後同人方店舗で前記のように使用されてきたものであること、(3)C方店舗は道路に面し、また、その作業場は同店内の前記の場所にあるため、同作業場で行われるオボロコンブ製造状況は、同店の訪問者はもちろん、同店舗前道路の通行者も窓越しに見ることができること、以上の事実が認められ、右認定の事実によると、C方における引用オボロコンブ製造具を用いたオボロコンブの製造状況は、本件考案の実用新案登録出願前よりC方の訪問者及び店舗前道路の通行者など不特定かつ多数の者によって観覧されてきたものというべきところ、引用オボロコンブ製造具は、金具と細竹片とからなる簡単な構造のものであって、その構造に照らせば、その技術内容はその外観及び使用状況から容易に理解し得るものと認められるから、引用オボロコンブ製造具にみられる本件考案の構成と同一の構成は、本件考案の実用新案登録出願前に公然知られたものと認めるのが相当である」と述べている。 |