東京高裁(昭和62年10月29日)“ドラムブレーキのシュー支持機構事件”は、「原告は、本件考案の構成では、このような作用効果を生じる因果関係が明らかでなく、理論上もそのような効果を生じ得ない旨主張するが、実用新案法にいう考案とは自然法則を利用した技術的思想の創作をいう(同法第2条第1項)のであるから、当該創作が自然法則を利用するものであり、それにより一定の効果を反覆継続して得ることができるものであれば十分であり、たとい、考案者において解決手段とそれがもたらす作用効果との間の因果関係や理論的関連性につき科学的認識を欠き、又は誤った認識をもったとしても、このことは何らその考案性を妨げるものということができない。したがって、本件考案において、その構成と作用効果との因果関係が明らかでないとか、作用効果を生ぜしめる理論的根拠の当否を問題としても、そのこと自体は本件考案の考案性を否定する理由とはなし難い」と述べている。 |