東京高裁(昭和2年6)“フューズ用一線式ホルダ事件特許法第0条第1項(サイト注:現2項)は、同法第9条第1項の新規性喪失に関する規定の例外規定と解せられるところ、同法第0条第1項の規定によると、刊行物で新規性喪失の例外となるものは『特許を受ける権利を有する者』が『発表し』た刊行物に限られるのであって、ここに、特許を受ける権利を有する者が発表したとは、同法条の文言に照らし、その発表の態様から、特許を受ける権利を有する者が主体的にその発明について発表行為(公表行為)をしたものと社会通念上認め得る場合をいうものと解するを相当とし、当該刊行物の発表の態様が社会通念上叙上の趣旨に当たらない場合は同条項の発表に該当せず、その規定の適用を受け得ないものというべきである。このことは、同条項において新規性喪失の例外をなすものとして上記例と並列的に示されている『特許を受ける権利を有する者』が『試験を行い』又は『特許庁長官が指定する学術団体が開催する研究集会において文書をもって発表する』との行為態様と対比し、十分に肯認することができる」と述べている。

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