■■ 解説 ■■(»全体表示)
(1)解釈
(1.1)「特許無効審判又は延長登録無効審判の審決が確定したとき」
特許無効審判や延長登録無効審判の有効審決(請求は成り立たない旨の審決)が確定したときである。
【補足】当事者や参加人であっても、有効審決の確定前においては、同一の事実と同一の証拠に基づいて再び特許無効審判や延長登録無効審判を請求できる(»判例)。また、確定後においては、再審の事由(»第171条2項−民事訴訟法338条)があれば、再審を請求できる。
(1.2)「同一の事実及び同一の証拠に基づいて」
次の2つを含むこと(すなわち、先の審判において主張して排斥された事実を証拠を変えないで再び後の審判において主張すること)である(»判例1、判例2、判例3、判例4)。 @自己が請求や参加した特許無効審判や延長登録無効審判であって有効審決が確定したものにおいて主張した事実のうち排斥されたものと同一の事実 A上記@の排斥された事実を証明するために申し出た証拠と同一の証拠
【補足1】上記@の排斥された事実は、無効理由に係るものとして主張した事実のほか、訂正の請求があった場合に訂正拒絶理由(訂正要件違反)に係るものとして主張した事実も含まれる(»特許庁「審判便覧」51−20)。
【補足2】排斥した判断が誤りであったとしても、そして、その誤りを証明できる証拠を追加したとしても(そのような証拠は審決取消訴訟において申し出ることができたものである)、上記@とAを含んでいる限り、一事不再理に違反した不適法な審判の請求となることは変わらない(»判例)。
【補足3】特許権の侵害に係る訴訟においても、上記@とAを含んで特許や延長登録の無効理由を主張すること(無効の抗弁)はできない(»判例1、判例2、判例3、判例4、判例5、判例6)。